2026年5月9日
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因と施術・自宅でのケア
「物を持ち上げると肘の外側が痛い」「パソコン作業の後、肘の外側がズキズキする」——テニス肘は、テニスをしない方にも非常によく起こる肘の痛みです。成人の1〜3%が経験するといわれ、安静にするだけでは改善しないケースが多いことが最新の研究で明らかになっています。
第1部:なぜテニス肘は起こるのか?
テニス肘(外側上顆炎)とは
正式名称は外側上顆炎(lateral epicondylalgia)。肘の外側の骨の出っ張り(外側上顆)に付着する短橈側手根伸筋(ECRB)という筋肉の腱が傷んだ状態です。炎症というより腱の変性(テノパシー)であることが最近の研究でわかっています。
発生メカニズム
- 繰り返しの伸筋使用:手首を反らす(背屈)動作、ドライバーを回す、マウスクリックなどで短橈側手根伸筋が繰り返し収縮
- 腱の微細損傷が蓄積:修復が追いつかず腱内部に血管が増生(血管新生)し、正常な腱繊維が変性組織に置き換わる
- 痛みの慢性化:変性した腱は刺激に過敏になり、軽い動作でも痛みが出る「痛覚過敏」の状態になる
⚠️ ステロイド注射の注意:以前よく行われていたコルチコステロイド(ステロイド)注射は、短期間は痛みが取れますが、長期的にはプラセボ(偽薬)より効果が低く腱をさらに傷める可能性があります(Dong et al. 2022)。
第2部:施術とセルフケアの方法
最もエビデンスが高い:エキセントリックエクササイズ
2021年の系統的レビュー(PMID: 33148599)では、エクササイズ(特に遠心性収縮)は受動的な施術より有意に効果が高いと結論付けています。腱に適切な負荷をかけることで変性組織の修復が促進されます。
タイラーツイスト(エキセントリックエクササイズ)
専用のフレックスバーまたは棒状のゴム製品を使用。
① 痛みのない側の手でバーを正面に向け持つ
② 痛みのある側の手を上から添える
③ 痛みのない側の手でバーを内側にひねりながら、痛い側の手でゆっくり戻す(3秒かけて)
15回×3セット。1日2回。6〜8週間継続が目安。
手首伸展ストレッチ
腕を前に伸ばし、手のひらを下向きにする。反対の手で手の甲を持ち、手首を曲げる方向(掌屈)にゆっくり引っ張る。30秒×3セット。筋肉が「気持ちいい痛み」を感じる程度で止める。
整骨院での施術
- 急性期
超音波療法・電気療法で腱の炎症を抑制し痛みを軽減 - 回復期
前腕筋群の徒手療法(筋膜リリース)・手首関節モビライゼーション - 強化期
段階的な負荷設定によるエキセントリックエクササイズの指導 - 予防
再発防止のための姿勢・動作改善指導
テニス肘でお悩みなら
「揉んでも湿布でも治らない」テニス肘には腱への適切な負荷管理が必要です。いわさき整骨院にご相談ください。
参考文献
- Dong et al. (2022). Nonoperative treatment of lateral epicondylitis: a systematic review and meta-analysis. J Shoulder Elbow Surg. PMID: 35252934
- Lucado et al. (2021). Exercise interventions in lateral elbow tendinopathy have better outcomes than passive interventions. BJSM. PMID: 33148599
- Bateman et al. (2021). Beneficial Effects of Eccentric Exercise in Management of Lateral Elbow Tendinopathy. Orthop J Sports Med. PMID: 34501416


前の記事へ