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症状別コラム

2026年6月10日

ハムストリングス肉離れの原因と施術・再発予防

「ダッシュした瞬間に太ももの裏がバチッとした」「走ろうとしたら電気が走ったように痛くて動けない」——ハムストリングス肉離れは、スポーツ中の急性外傷で最も多い筋損傷の一つです。再発率が高く(30〜40%)、適切なリハビリなしに復帰すると繰り返す傾向があります。


第1部:なぜハムストリングスの肉離れは起こるのか?

ハムストリングスとは

ハムストリングスは太ももの裏側にある3つの筋肉(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)の総称です。股関節の伸展と膝関節の屈曲を担う大きな筋群で、走る・蹴る動作で強い力を発揮します。

損傷は特に大腿二頭筋の長頭(外側の筋)と坐骨結節付近(筋の付け根)に集中します。

肉離れが起きる仕組み

  1. スプリント中の離地直前〜接地期:膝を後ろに蹴り出す動作でハムストリングスは最大伸長位に達しながら、同時に強い収縮力を発揮する(伸張性収縮)
  2. 筋腱移行部への集中ストレス:筋と腱の境界(筋腱移行部)は弾性が急変する部位のため、力が集中しやすく断裂が起きやすい
  3. 疲労・ウォームアップ不足でリスク倍増:筋が温まっていないとき・試合終盤の疲労時は筋の伸張耐性が下がり受傷しやすくなる
⚠️ 坐骨部の激痛・完全断裂の可能性:坐骨結節での腱完全断裂(近位付着部断裂)は手術が必要なことがあります。臀部〜太もも裏に強い痛みと腫れがある場合は必ず整形外科でMRI検査を受けてください。
図1:正常なハムストリングスと肉離れの比較。筋腱移行部での断裂が多いパターンを示した患者向けイラスト。
図1:正常なハムストリングス(左)と肉離れ(右)。筋腱移行部での断裂が最も多いパターンです。

第2部:施術とリハビリ・再発予防

受傷直後の対処(PEACE&LOVEプロトコル)

近年のスポーツ医学では、旧来のRICEに代わるPEACE&LOVEプロトコルが推奨されています。急性期(受傷後48時間)は保護・安静・挙上・アイシング(15〜20分×3〜4回)が基本です。

  • 急性期(0〜48h)
    PEACE:保護(無理に歩かない)・安静・患部挙上・アイシング(タオル越しに15分)
  • 回復期(2日〜)
    LOVE:負荷を少しずつ増やす・楽観的な回復見通し・血流促進(マッサージ・温熱)・エクササイズ開始
  • 機能回復期
    筋力がケガをしていない側の70%以上になったら段階的なランニング復帰プログラムへ

再発予防のエクササイズ(ノルディックハムストリングカール)

2017年の系統的レビュー(PMID: 27752982)および2021年の系統的レビュー(PMID: 34444026)では、ノルディックハムストリングカールがハムストリングス肉離れの再発リスクを51%低下させると報告されています。

ノルディックハムストリングカール(自宅版)
ソファや椅子の足元に足首を固定し、膝立ちの状態から上体をゆっくり前に倒す。倒れる直前まで粘り、手で受け身を取って戻る。最初は3〜5回×2セットから始め、6週間かけて10回×3セットを目標にする。

ダイナミックストレッチ(ウォームアップ)
練習前に脚振り(レッグスウィング)を前後・左右各15回行う。ハムストリングスを動的に伸ばし、血流を高めて受傷リスクを下げる。静的ストレッチ(ぐーっと伸ばして止める)は運動後に行う。

図2:ノルディックカールとレッグスウィング。ハムストリングス肉離れの再発予防として行うエクササイズの患者向けイラスト。
図2:ノルディックカール(左)とレッグスウィング(右)。ノルディックカールは再発予防に重要なエクササイズです。
再発予防のポイント
・練習前は必ず動的ウォームアップ(レッグスウィング・もも上げ)を行う
・週2回以上ノルディックカールを継続する(シーズン中も)
・疲労の蓄積を感じたら早めに練習量を落とす

ハムストリングスの痛みはお早めに
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参考文献

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