「運動が大事なのは分かっているけれど、立ってやる体操は転びそうで怖い」——そんな声にお応えして、今回は椅子に座ったままできる運動をご紹介します。要支援・要介護の認定を受けている方でも、体の状態に合わせて取り組みやすい内容です。

始める前の3つの約束
1. 安定した椅子で: キャスター付きや折りたたみ椅子は避け、背もたれのある安定した椅子を使う 2. 痛みが出たら中止: 「痛気持ちいい」までが目安。鋭い痛みを我慢して続けない 3. 呼吸を止めない: 力むと血圧が上がります。数を声に出して数えながら行うのがコツです
持病のある方や運動を制限されている方は、始める前にかかりつけ医へご相談ください。
回数はすべて「まず5回から」を目安にしてください。慣れて余裕が出てきたら、少しずつ増やしていきます。最初から多くやる必要はありません。
① はじめに(ウォームアップ)
- 深呼吸: 背すじを軽く伸ばし、鼻から吸って口からゆっくり吐くを3回。体を運動モードに切り替えます
- つま先・かかと上げ下げ: かかとを床につけたままつま先を、次につま先をつけたままかかとを、ゆっくり上げ下げ。各5〜10回。足首を動かしてふくらはぎの血行を促します
② 太もも(立つ・歩く力)
- 膝伸ばし: 片脚をゆっくり水平まで伸ばして5秒キープ→ゆっくり下ろす。左右5回ずつから
- もも上げ: 座ったまま、太ももを交互にゆっくり持ち上げる。左右5回ずつから
③ お腹・背中(姿勢を保つ力)
- 背伸び: 両手を組んで上に伸ばし、5秒キープ。2〜3回
- 軽いひねり: 胸の前で腕を組み、反動をつけず小さく左右に体を向ける。左右3〜5回ずつ(※背骨をひねる動作です。痛みや違和感が出たらすぐ中止してください)
④ 手・腕(生活動作の力)
- グーパー運動: 両手を前に出し、大きくグー・パーを10〜20回
- タオル絞り: 乾いたタオルを両手でゆっくり絞る動きを左右5〜10回
⑤ おわりに(クールダウン)
- 両肩をゆっくり回し、最後に深呼吸を2〜3回。お疲れさまでした
全部やっても10分ほどです。週に2〜3回から始めて、慣れてきたら回数を少しずつ増やしましょう。高齢の方の筋力運動は、続けることで筋力や生活機能の維持・改善が期待できると多くの研究で報告されています。
続けるコツ
- テレビの前など「いつもの場所」で、「いつもの時間」に行う
- カレンダーに丸をつける(見える化はやる気を支えます)
- 家族や仲間と一緒に行う
よくあるご質問
Q. 毎日やってもいいですか?
軽い内容なら毎日でも構いませんが、筋肉痛が残っている日はお休みするか、回数を減らしてください。「週2〜3回を長く続ける」ことのほうが、毎日がんばりすぎて続かなくなるより大切です。
Q. どのくらいで変化を感じられますか?
個人差がありますが、まず「立ち上がりが少し楽になった」といった生活の中の変化として現れることが多いです。数週間〜数ヶ月の単位で、焦らず続けましょう。
Q. 車椅子でもできますか?
上半身の運動を中心に取り組める内容があります。体の状態に合わせた調整が必要ですので、専門職にご相談ください。
当事業所でできること
「一人では続かない」「正しくできているか不安」という方には、併設デイサービス「杜のクラブ」での機能訓練という選択肢があります。専門的な視点で一人ひとりに合わせた運動を、仲間と一緒に続けられる環境です。
まとめ
運動は「立ってやるもの」とは限りません。椅子の上から始める一歩が、立つ力・歩く力を守ります。
機能訓練にご興味のある方は、見学にいらしてください。
注意書き
運動の内容は体の状態に合わせて調整が必要です。持病のある方・運動制限のある方は、かかりつけ医に相談のうえ行ってください。介護保険サービスの利用には要介護認定やケアプラン等が関係します。詳しくは担当ケアマネジャーへご相談ください。
参考文献
- Shen Y, et al. Exercise for sarcopenia in older people: A systematic review and network meta-analysis. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2023. PMID: 37057640
- Sherrington C, et al. Exercise for preventing falls in older people living in the community. Cochrane Database Syst Rev. 2019. PMID: 30703272
デイサービスの雰囲気や機能訓練の内容は、実際に見ていただくと分かりやすいです。
022-341-9623

