2026年6月9日
ふくらはぎの肉離れ(腓腹筋断裂)の原因と施術
「テニスをしていたら突然ふくらはぎをボールで打たれたような激痛が走った」——これはふくらはぎの肉離れ(腓腹筋断裂)の典型的な症状です。別名「テニスレッグ」とも呼ばれ、40〜50歳代のレクリエーションスポーツで多発します。アキレス腱断裂との見分けが重要で、適切な評価と段階的なリハビリが早期回復の鍵です。
第1部:なぜふくらはぎの肉離れは起こるのか?
ふくらはぎの筋肉構造
ふくらはぎは主に腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋で構成されます。腓腹筋は2頭(内側頭・外側頭)からなり、膝関節をまたぐ二関節筋です。膝を伸ばした状態でのジャンプや切り返し動作で最大の負荷がかかります。
損傷の80〜90%は腓腹筋内側頭(内側のふくらはぎ)に発生し、筋腹〜筋腱移行部に集中します。
損傷が起きる仕組み
- 突然の加速・切り返し動作:スプリント開始・テニスのレシーブ・バスケットボールのジャンプ着地など、ふくらはぎが伸ばされながら収縮する瞬間に断裂が起きる
- 腓腹筋内側頭の筋腱移行部:内側頭の腱への移行部(ひざ裏(膝窩)の少し下)で弾性が急変し、力が集中する
- 加齢による筋弾性の低下:40〜60歳代では筋繊維の弾力性が落ち、同じ動作でも断裂しやすくなる
第2部:施術とリハビリ・再発予防
受傷直後〜急性期の対処
2017年の系統的レビュー(PMID: 28259848)では、ふくらはぎ肉離れのリスクとして、年齢・過去の受傷歴・下腿筋の状態などが検討されています。急性期は無理に伸ばしたり揉んだりせず、痛みと歩行状態を見ながら保護・圧迫・挙上を優先します。
- 0〜48時間
PEACE:歩行時はテーピングまたは包帯で保護・安静。アイシング(タオル越し15〜20分、1日3〜4回)。患部を心臓より高く挙上する - 2日目以降
LOVE:無理のない範囲で体重をかけた歩行を開始。血流を促すための軽いマッサージ(周囲のみ)・温熱療法 - 3〜6週間
段階的な筋力強化とストレッチを開始し、ジョギング→スプリントと段階的に復帰
自宅でできるリハビリエクササイズ
段階的カーフレイズ(ふくらはぎ強化)
【第1段階】両脚でゆっくりかかとを上げ下げ(3秒上げ・3秒下げ)×15回×3セット。痛みがなければ【第2段階】片脚で同様に。最終的に片脚でのジャンプ着地ができることが競技復帰の目安です。
ふくらはぎの静的ストレッチ
壁に手をついて一歩前に出す。後ろ足のかかとを床につけたまま、前足の膝を曲げてふくらはぎを伸ばす(腓腹筋ストレッチ)。20秒×3回、1日2〜3回。痛みのない範囲で行う。
競技復帰の目安
2022年のスポーツ臨床家20名への質的研究(PMID: 35032233)では、ふくらはぎ肉離れの復帰判断は、痛み・筋力・走る動作・方向転換などを複数項目で確認する考え方が示されています。
・痛みなしに片脚カーフレイズ25回以上できる
・ケガをしていない側と比べて筋力差が10%以内
・ジョギング・ダッシュで痛みが出ない
・切り返し・方向転換動作で問題なし
ふくらはぎの痛みはお早めに
アキレス腱断裂との見分けも含め、適切な評価が大切です。いわさき整骨院にお気軽にご相談ください。
参考文献
- Green B, Pizzari T. (2017). Calf muscle strain injuries in sport: a systematic review of risk factors for injury. Br J Sports Med. 51(16):1189-1194. PMID: 28259848
- Green B, McClelland JA, Semciw AI, Schache AG, McCall A, Pizzari T. (2022). The Assessment, Management and Prevention of Calf Muscle Strain Injuries: A Qualitative Study of the Practices and Perspectives of 20 Expert Sports Clinicians. Sports Med Open. 8(1):10. PMID: 35032233
ご来院前に知っておくと安心


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