5月、運動会シーズン。毎年この時期、「保護者リレーで走った瞬間、太ももの裏にブチッときた」という方が来院されます。頭の中には学生時代の走りのイメージが残っているのに、体は当時のままではない——このギャップが、大人の運動会のケガの正体です。

なぜ「久しぶりの全力疾走」で肉離れが起きるのか
肉離れは、筋肉が強く引き伸ばされながら力を出した瞬間に、筋肉の線維が部分的に切れてしまうケガです。太ももの裏(ハムストリングス)とふくらはぎが二大好発部位。全力疾走は、日常生活では決して出さない速さと力で筋肉を使う動作です。準備のない筋肉には、スタートダッシュと加速の数秒が最大の危険地帯になります。
- 日頃走っていない(筋肉の伸び縮みの準備がない)
- ウォームアップなしでいきなり全力
- 革靴やサンダルに近い靴で走る
- 「子どもの前でいい所を見せたい」の気持ちで、体の警告を無視する
当日までの2週間で取り組む準備
研究では、太もも裏をゆっくり伸ばしながら鍛える運動(ノルディックハムストリングなど)を取り入れたチームでは、ハムストリングの肉離れが半分近くまで減ったことが報告されています。運動会前でも、ミニ版の貯筋は可能です。
- もも裏のエクササイズ: 膝立ちで足首を固定してもらい(またはソファの下に足を掛け)、体をゆっくり前へ倒して手で受け止める×5回。きつい方は、椅子に座って片脚を伸ばし、もも裏を伸ばすストレッチからでOK
- 軽いジョギング: 週2〜3回、10分程度でも「走る動き」を体に思い出させる効果があります
- その場ダッシュもも上げ: 20秒×2〜3回
当日のウォームアップ(5分でOK)
サッカーの世界では、決まった手順の準備運動でケガ全体が減ることが確かめられています。運動会版はこれで十分です。
- 軽いジョギング1〜2分 → 脚の前後振り各10回 → スキップ20m → 7割の力で1本走ってから本番へ
- 靴は運動靴で。芝や土の状態も一度確認を
そして本番は「8割の力で、フォームきれいに」。転倒のリスクも減り、写真映りも良くなります。
もしブチッときてしまったら
その場で走るのを中止し、アイシングと圧迫を。歩けても、その日は飲酒・入浴・マッサージを避けてください(内出血が広がります)。翌日以降の適切なケアが回復の早さを左右します。当院で状態を確認し、復帰までの計画を立てましょう。
まとめ
大人の運動会は「2週間前からの貯筋・5分のウォームアップ・本番8割」。これだけで、翌週の湿布生活を回避できる可能性がぐっと上がります。
運動会でのケガ、走ったあとの太ももの違和感は、お気軽にご相談ください。
注意書き
症状の原因にはさまざまなものがあります。歩けないほどの痛みや大きな内出血がある場合は、医療機関の受診もご検討ください。施術の効果には個人差があります。
参考文献
- Al Attar WSA, et al. Effect of Injury Prevention Programs that Include the Nordic Hamstring Exercise on Hamstring Injury Rates in Soccer Players. Sports Med. 2017. PMID: 27752982
- Thorborg K, et al. Effect of specific exercise-based football injury prevention programmes on the overall injury rate in football. Br J Sports Med. 2017. PMID: 28087568
痛みや動きにくさが続く場合は、早めにご相談ください。
022-341-9623(要予約)

