走り始めて20〜30分すると、膝の外側がズキッと痛む。止まると楽になるのに、また走ると痛む——。それは「ランナー膝」と呼ばれる腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)かもしれません。秋の大会シーズンを前に、練習量を増やしたランナーに特に多く見られます。

腸脛靭帯炎とは
腸脛靭帯は、骨盤の横から膝の外側まで伸びる長いスジ状の組織です。走る動作で膝の曲げ伸ばしをくり返すと、この靭帯と太ももの骨の外側がこすれ合うような負荷がかかり、炎症が起きて痛みにつながると考えられています。ランナーに多い障害のひとつとして、海外の研究でも広く報告されています。
なりやすい人の特徴
- 急に走行距離を増やした(月間距離の急増)
- 下り坂の練習が多い
- O脚気味、または着地のときに膝が内側に入りやすい
- お尻の横の筋肉(中殿筋)の力が弱く、骨盤を支えきれていない
- 靴底の外側だけが極端にすり減っている
「距離×フォーム×筋力」の3つの掛け算で負荷が決まる、とイメージしてください。
自宅・練習で気をつけるポイント
- 痛みが出たら距離を一時的に減らす: 完全休養が必要なケースばかりではありませんが、「痛みを我慢して走り込む」は長引かせる典型パターンです
- 平らなコースを選び、下り坂を避ける
- 太ももの外側・お尻まわりのストレッチを習慣に
- 痛みが強い日は、自転車や水中ウォークなど膝へのこすれが少ない運動に置き換える
練習再開の段階の例
痛みが落ち着いてきたら、一気に元の練習に戻さず、段階を踏みます。
- 痛みなく30分歩ける
- ウォークとジョグを交互に(例: 歩き4分+走り1分を5セット)
- 短い距離のジョグから、1週間ごとに距離を1〜2割ずつ伸ばす
- 違和感が出たら、前の段階に1つ戻る
「走れる日が続くこと」を優先し、スピード練習や下り坂は最後に戻すのがコツです。
当院でできること
いわさき整骨院では、痛みの出ている場所だけでなく、股関節まわりの筋力や柔軟性、着地のクセまで含めて評価します。手技療法で太もも外側の張りをゆるめ、再発予防として中殿筋のトレーニングや走り方のポイントをご提案します。大会までの日数から逆算した調整のご相談も可能です。
シューズと路面のチェックも
底がすり減ったシューズは着地のバランスを崩し、膝への負担を変えてしまいます。走行距離の目安(一般に500〜800km程度)を超えたら状態を確認しましょう。また、いつも道路の同じ側を走ると、路面のわずかな傾きで左右差のある負担がかかり続けます。コースを時々変えるのも立派な予防策です。
受診の目安
膝の腫れが強い、引っかかり感やぐらつきがある、安静時も痛むといった場合は、別のケガの可能性もあります。医療機関での検査をご検討ください。
まとめ
ランナー膝は、距離・フォーム・筋力のバランスを整えながら対処すれば、走り続けながらの回復を目指せるケースが多い障害です。大事な大会の前こそ、早めの対応が結果につながります。
走ると痛みが出る方は、一度ご相談ください。
注意書き
回復までの経過や施術の効果には個人差があります。腫れや安静時の痛みが強い場合は、医療機関の受診もご検討ください。
参考文献
- van der Worp MP, et al. Iliotibial band syndrome in runners: a systematic review. Sports Med. 2012. PMID: 22994651
- Sanchez-Alvarado A, et al. Effects of conservative treatment strategies for iliotibial band syndrome on pain and function. Front Sports Act Living. 2024. PMID: 39247485
痛みや動きにくさが続く場合は、早めにご相談ください。
022-341-9623(要予約)

